ねこのひとみ

本や映画の内容を忘れないようにする

猫の瞳

ボーン・シリーズ ☆☆☆☆☆

来年にボーン・シリーズ第5弾がマット・デイモン出演で公開されると聞いて、ボーン・シリーズの全三部をシルバーウィーク中に見ました。前に見た時はぞれぞれそのDVDが発売されたときにレンタルして見ていたから、ぶっちゃけキャラクターやストーリーの繋がりが分からなくてただアクションがかっこいいーと思っていただけだったけども、今回通しで見て全体像が見えてきてより楽しかった。まあ、見ていた当時はまだ中学、高校の頃だったからストーリーを理解できてなかったのもあると思うが・・・。

 

 

いやはや、しかしボーン・シリーズはやっぱり面白い。

このボーン・シリーズを好きになったきっかけのシーンが、第一作目冒頭、公園で休んでいたボーンに警察が声をかけた時、咄嗟にボーンが撃退してしまう場面。警棒を向けられた瞬間、無意識に瞬時に警棒をつかみ、流れるようなアクションで警官をのしてしまうんだけども、それまで自分が誰なのか分からない孤独感と不安感を表していた表情が警棒を掴んだ瞬間に殺戮者としてのスイッチが入り険しい表情になる。そして警官をのした後なぜこんな事を自分が出来てしまったのか分からず狼狽える姿。このギャップにやられたね。ここのシーンでストーリーとジェイソン・ボーンというキャラクターに一気に惹かれる。

あと、マリーとパリで向かう途中の休憩で立ち寄ったカフェ(?)でどうしてこんな事が出来るのか、自分が何者なんだと吐露するシーンもたまりません。自身の正体がわからず能力だけが異常という設定、すごく好きです。王道ともいえるかな?

 

とにかく!

マット・デイモン演じるジェイソン・ボーンのキャラクターが魅力的なことよ。

自身が誰なのか分からず混乱しつつも身体はどうするべきかを覚えている。そして覚えている事の物騒さに自身に恐怖を抱く。自分は一体何者なのか。その苦悩が視聴者に伝わってくる。

でも自身に困惑しながらも困難や窮地に陥った時に冷静沈着にその場で対応する。これが他のスパイ映画とは違ったテイストを生み出してる。アクションはもちろんカッコイイ、文句無しにカッコイイしリアルだ。でもそれ以上に常にその場で最適な行動を実行するクールさがボーンにはある。第一作目のボーン・アイデンティティでは走ってるシーンはほぼないんじゃないかな。脅威が近づいても冷静に歩いて対処する。普通警察や追跡者が近づいてきたら慌てた行動をとるじゃん?

ボーンは違う。慌てない。常に冷静に考え次の行動をとる。これは惚れる。

 監督のコメンタリーで武術のカリからボーンのキャラクターを膨らませていったとあったけども、カリもカッコイイよね。常に最適に動く。 こういうところからキャラクターを膨らませていくのか〜と関心。

 

さて、全編を通しでみた感想は、

ボーン・アイデンティティでは自分が誰か分からない恐怖と混乱。

ボーン・スプレマシーでは愛する恋人を失った怒りと悲しみ。

ボーン・アルティメイタムでは自分の過去との決着をするための決意。

それぞれにジェイソン・ボーンの感情が作品の空気感として表現されてるなぁということ。

 

 

 

それと、全編を通して唯一ボーンが殺意を持って銃を握っているのは、ボーン・スプレマシーでパメラ・ランディをビルから窓越しに様子を伺っていた時だけじゃないかな。マリーを殺された復讐としてスナイパーライフルを握っていた。他の似たようなビルの上からどこかを監視をしているシーンにはライフルではなく望遠鏡で覗いていたし、ピストルも殺すためではなく牽制するために所持していて、その後直ぐにゴミ箱にぽいっだ。いつだって殺すことに嫌悪感を抱いているボーン。だからこそ、あのシーンがボーンの唯一明確な殺意の現れであり、悲しみと怒りを表してたんだろうね。こういった細かい演出にジェイソン・ボーンの人物像が浮かび上がってきてニヤニヤする。

 

クランクインされたマット・デイモン出演の第5弾では、スノーデンの事件からその後の世界を舞台にしていると監督がコメントしていたのでどういった内容になるのか、ボーンの冷静沈着なクールさはそのままでいてくれるのか。楽しみに上映を待ちたいです。 

 

 

 

ところで、音楽を担当しているジョン・パウエルヒックとドラゴンも担当していると知ってこれは、見るしかないか・・・!(←作曲家から見る映画を決めるタイプです)

 ボーン・シリーズは音楽も素晴らしい。