グラディエーター ☆☆☆☆☆
妻子を故郷を渇望した剣闘士(グラディエーター)。
彼の死による平穏を見届けた一人の人間となっていた。
リドリー・スコット監督『グラディエーター』
最初と最後の麦畑の歩きながら手で触れて感じるカットが如何にマキシマスが妻子を愛していたのか、故郷を渇望していたのかが伝わってきて涙があふれた。
途中、コモドゥス(皇帝)の刺客から逃れ、故郷に戻った時には妻子が無残にも殺されていたシーンでは、描写としてはなかったけれども、1人で愛する妻子を縄から降ろしてお墓に埋めたんだろうなと思うと、どんなに悲しかったか。屈辱的だったか。どうして間に合わえず助けることができなかったのかとか、色々と感じたんだろうなと思うと息が詰まった。
お墓のそばでマキシマスが眠っていた描写は彼がここで一度、魂が死んでしまったというのを表していたのかもしれない。
そして、コモドゥスは愛に飢えた寂しい子供。誰からも愛されず、孤独から逃れるためにあんな風に歪んでしまったんだろうな。
迷子の子供でした。
コロセウムや剣闘士が戦っているシーンで民衆が血に飢えたように叫び、求める歓声が実に怖かった。人の狂った部分がクローズアップされていた様に感じた。
こんなにも人間は残虐を楽しむことができるのかと。
でも、最後はマキシマスの慈悲と哀歎で静寂に満ちた瞬間、人は残虐性から良心を戻すこともできるのかなと。
それに、ヌミディア人の奴隷との友情や、プロキシモとのやりとりも良かった。
マキシマスの人を惹きつける魅力は何なんだろうな。
強さに、統制力に、冷静さに、うーん、なんだろう。
自分の感情に素直な所とかかもしれないね。
血を見て何が楽しいのか?!
蛮人な行為をして何が面白いのか!?
それを声高に主張できるのが彼の魅力の一つなのかな。
それに見合った実力もあるし。なにより、仲間を大切にするし。
この人になら付いて行こう、命を賭けようと思えるのってそういうのなのかなぁ。