プライベート・ライアン ☆☆☆☆☆
戦争、絶対、ダメ。
たった1人の兵士救出のために8人が戦場をゆく。
冒頭の白い十字架が立ち並ぶシーン。
戦争で亡くなった人たちの墓標。
それだけで、涙がでる。
この映画はとにかく徹底して本物の戦場が描かれていた。
音は発砲音に炸裂音、兵士達の声に息遣い、そして人が死ぬ音。
そして、余りにも大きな爆発音により耳が聞こえなくなり戦場が時に静寂に満ちる。
それだけで、後は、何も。
戦場はそれだけなんだなと。
カメラの撮影の仕方も手持ちカメラで戦場を実際に進んでいるかのようだった。
目の前でバタバタと簡単に死んでいく仲間たち。
怪我をしている兵士を必死に治療する衛生兵。
銃撃の飛び交う死の舞台を駆け抜ける兵士。
血の海。
どれもが、ただ、戦場としてそこにあった。
(この映画の前に「グラディエーター」を見ていたけども、そこで描かれてた戦場とは違っているように思えた。より残酷な戦場へと。そこにはローマ帝国時代の戦場にあった名誉や勇敢を称えるといったものがなく、ただただ簡単に人が死んでいく場所。)
そんな中でも彼らは冗談をいったりする。
平静を保てないと思えるような場所でも軽口をいう。
それは、人としてどこか狂っている様に思えた。
でも、そうしないと精神が保てないんだなと。
ミラー大尉の手の震えはまさに恐怖からの身体の素直な反応なんだろうな。
しかし、ライアン役がマット・デイモンでビックリした。
彼が死んだ兄の事をミラー大尉へ楽しそうに夢中になって話した直後にスッと表情が動から静へと変わった演技は凄かった。
一気に非現実から現実に戻った時の表情。
最後のミラー大尉が悔い無く生きろと言って死んだ時に出来なかった敬礼が、ライアンが歳をとり、家族に囲まれ、いい人生をおくれたと思えた時に漸くできたんだなあと思うと、涙が溢れた。(ついでに鼻水も)
戦場で多くの仲間を失い、それでも生きた彼を。
戦場で無残にも死んだ多くの犠牲者を。
彼らを思うと涙が止まらなかった。
こんなにも号泣したのは久しぶりだ。