ねこのひとみ

本や映画の内容を忘れないようにする

猫の瞳

甲鉄城のカバネリ ☆☆☆☆☆

絵の力の入れ具合が凄い。人物も動きも背景も丁寧に描かれてて、全くこの世界の説明がされていないけども、絵だけで説得力と勢いがあった。
予備知識一切なしで見たけども、スチームパンクな江戸〜明治の日本観でゾンビものって事を説明なしで冒頭で把握できる。すごく見せ方がうまいだろうな。これがジャパニーズ・スチームパンク・ゾンビだ!

あとこのアニメの台詞回し好きだな。
冒頭の場面でカバネに噛まれた人物に対して周囲の人間が「覚悟を見せろ!」「醜態を晒すな!」「ひけ!ひけえ!!」と続けざまに自決を促すのがいかにこの世界が切羽詰っている状態なのかが伝わる。恐怖に怯え、表情が引きつり、カバネを酷く恐れていることを伝える描写だった。
さらにこのカバネへの恐れの描写は、武士たちが検閲対象が確かにカバネであると確認するまえに疑わしいというだけで銃殺したことでよりいっそう鮮明する。
(そしてこのシーンでの血の描写のSEがずちゃああぐちゃびちょって生々しいこと。いいぞ!大好きだ!!音にも拘りがあるときた!)
そんなカバネへの常軌を逸した恐怖を主人公の生駒は「恥ずかしくないのか。何もかも怖がって。正気を失って。」と訴える。このシーンでの声優さんがいい仕事してるわあ。人が人を殺したことへの憤り、理不尽さ、それを止められない自分の悔しさ、カバネへの恐怖に負けるて理性をなくす人の脆弱さへの悲しみ等々が混じって感じた、すごく好きなシーンです。
もちろん生駒も恐怖を感じていないわけじゃない。それでも恐怖を抑えこみ前に進もうとする姿がいいね。正義感だけのただの馬鹿ではない主人公。足掻きながらも自らの正義を貫く。そして恐らくカバネに立ち向かう理由は回想シーンであった妹(弟だっけ?)らしき子が死んだことにあるんだろうな。

生駒がカバネを倒した後の「やったぞ!俺のつらぬき(?)が心臓を貫いた!俺のぁ!俺がぁ!」と腕を振り上げながら興奮のあまり言葉にならなくて片言になるシーンも好きだなぁ。感情がこもったセリフ。
ホントこのアニメはセリフの間というかチョイスが好きだな。

あと、ラストでは生駒が紐で首を締めるシーンとヒロインの無名が首のリボンをしゅるっと外すシーンが交互に描かれてたから、これは、無名は過去にカバネに噛まれたなと推測。カバネのキャリアになったことで回し蹴り一発でカバネの首をふっ飛ばすぐらいの人外の力を手に入れたとか・・・うーん、どうだろうね笑

第一話としては掴みはグッドでした。主人公が試練に立ち向かい、困難を知恵で乗り越えるまでが第一話。次は旅立ちだな〜。少年が悲劇から激流に飲まれ為す術もなく旅立つのが物語の導入部分としてよくあるパターンだと思ってるんだけども、それに一致した始まり方だったな。

あと、江戸と明治の狭間は感じのスチームパンクな世界背景、たまらないですね!蒸気!蒸気がいいよ!
スチームパンクといったらヴィクトリア朝を連想するけども日本風もいいね〜。
第2話も楽しみだ〜・・・・とEDを見ていたらなんか立体機動っぽいものがあったんですが!?

それと、カバネって屍(シカバネ)から死(シ)という概念が消えてることからカバネって呼ばれるようになったのかな〜なんて妄想してました、カバネで漢字変換したら一発で屍が出てくるまでは・・・!

たんに、屍(カバネ)なのかな・・・。